SNフェスタに間に合わなかったSSですが、
なかなか仕上がらなくて・・これ完成させてから原稿に集中したかったんだけど、
どうにもこうにも終わらないので、ここに途中うpします;;;
気になって原稿できないので。
きっと原稿に詰まったら完成しちゃうんだろうなあと思うが、
もしかしたら新刊に入れられそうなら入れますけども。
すでに原稿がやばい。終わるかな・・・・できたら2冊出したいんだよおおお。
お題「RTN+未来設定+ラブラブ」で投稿したかったもの~~。
↓
どうにも息苦しくて、それでも逃げ込む場所がなくて、今の自分ならあの世界に自由に行けるかもしれないと不意に思って試したら意外と簡単に行けた。
木の葉の里であって木の葉の里でないあの世界。
顔岩はサクラちゃんの父ちゃん。オレの父ちゃんと母ちゃんもいてオレもいる幸せな世界。
別にそこに戻りたかったわけじゃない。
単に誰もオレを知らない所に来たかっただけ。
こっちの世界のオレこと『メンマ』にも会う気はなかったけど、里内をフラフラ歩いているとばったり会ってしまった。
「なんでまたテメーがここにいんだよ」
「はは……」
同じ顔のせいか他人とも思えない。
前回と違ってメンマはオレと同じ金髪で、服も同じだし。
メンマはチッと舌打ちしたが、オレの手を掴んで歩き出した。
「ボーっとつっ立ってんな。目立たない場所に移動するぞ」
「お、おう」
同じ顔の人間がいるせいか、周囲から時々チラチラと視線を感じる。
珍しそうに見られた後、ほほえましい顔をされ、思わずへらっと笑い返してしまう。
双子の兄弟がいたらこんな感じなのだろうか?
格好も同じだしな。不思議な感じだ。
なんとなく考えていることもわかる気がする。
表情は険しいけどそんなにオレに対してメンマも不快に思ってねーんじゃねえかな?なんとなくだけど。
連れてこられたのは前父ちゃん達と住んでいた家ではなく、アパート。それもオレの世界と同じ部屋だった。
「メンマ?ここって……」
「オレんち。一人暮らししてんだよ。オレ実家があんま好きじゃねーから。お前が実家で寝泊りしたいなら行けば?歓迎されると思うぜ」
「いやそんなに長くはいるつもりは……」
メンマが鍵を開けてドアを開けると、ああやっぱり別世界だなと思う光景が飛び込んできた。
「お帰りメンマー、メシにする?風呂にする?それともオレ?」
やたらテンションの高いサスケが白いフリルエプロン1枚で身体をくねらせているのが一瞬見えたかと思うと、バァン!!とメンマの手によってドアがひしゃげるような勢いで閉じられた。
「でかい生ゴミあるの忘れてた、実家に行った方がいいな」
「今なんか見えたってばよ!?」
「気のせいだ」
絶対気のせいじゃない。そうか、こっちの世界のサスケもやっぱりおかしかったんだな。
「なんだよメンマ~、客が来るなら言えよ。恥ずかしいだろ」
カチャッとドアが内側から開いてサスケが顔を出したが、さっきとは違いちゃんとした服を着ていたのでホッとした。
「お前の存在自体が恥ずかしいんだよ」
「えーっと…………確かナルトだっけ? メンマの彼氏のサスケでっす」
「か、彼氏……」
さっと手を差し出されたので、握手すると強く握り返されてグイッと部屋の中へと引っ張りこまれた。
「テメーは黙っとけ!出てけよ!」
「まぁまぁ、せっかく来たんだからお茶でも。ナルトは甘いもの大丈夫か?メンマは甘いものあんま食わねーんだけどナルトもそう?あ、靴はそこで脱いでな」
さぁさぁと促され、靴を脱いで上がった。笑顔なサスケが珍しすぎて別人だ。いや別人なんだけども。
「オレは甘いもの好きだけど……」
「じゃあイチゴのロールケーキ食べようぜ。今木の葉に美味いロールケーキの移動販売が木の葉に来ててよー美味いぞ」
ごく自然に腰を抱かれぞっとした。これが噂(サクラちゃん情報)のチャラスケ……!
「サスケ!ナルトにベタベタ触るな!」
「んだよーじゃあメンマに触れば良いのか?お前もさっさと上がれよ」
「俺んちだって言ってんだろ!」
メンマの家は玄関こそはオレの家と同じようなものだったが、中は違っていて違和感があった。
「……なんかオレんちじゃないみたいだってばよ」
いやオレんちじゃねぇんだけど
写真立てとかやかんとかカップラーメンとか置いている物はほぼ同じなのだが綺麗に片付いているし、食卓テーブルに花飾ってあるし、部屋の中はその花の香りがしていい匂いだし。
「オレが掃除してるからなーメンマは片付け苦手だから」
「恩着せがましく言ってんじゃねーよ。テメーが好き勝手してるくせに」
メンマはひたすらサスケに悪態をついているが、サスケはハイハイと聞き流して、ごく自然にメンマが脱ぎ捨てた上着を取るとハンガーにかけた。
なんだか夫婦みたいだなと思った。
メンマはテーブルを挟んでオレと向かい合わせで座っているが、サスケは冷蔵庫やら食器棚を弄ってお茶の準備をしている。
こっちのサスケは甲斐甲斐しくていいなぁ。常時機嫌がいいからちょっと気持ち悪いけど。
サスケはテーブルの上に冷たいお茶が入ったコップとロールケーキを3人分置くと、自分の分のコップを手にとってテーブルに片手をついて立ったまま飲んだ。
それは椅子が1対しかないからなのだが、よく見るとサスケとメンマのコップは色違いの同じデザインで、オレのは客用なのか別のデザインだった。
「……あのさ、もしかして一緒に住んでんじゃないのか?」
「……………」
ぎゅっと口を結んで黙るメンマを、サスケはメンマを期待をこめた瞳で見つめていた。
どっちも否定しない所を見ると押し掛け同棲ってとこかな。
「なんだよ仲良いんじゃん。ちょっと羨ましいってばよ」
「そっちのお前らは仲悪いのか?」
ゴホンと咳払いするメンマは、今日初めて素になったような気がした。
表情があまり変わってないけど多分照れてる。
こっちのオレはオレの世界のサスケみたいだな。
「いや……そうじゃねぇけど」
「なになに?もしかしてそっちのオレがカッコよすぎて高値の花とか?」
「お前は黙れ」
「その……ずっと友達だったんだけど、昨日告白されて」
「ほー、よかったじゃねぇか。お前サスケのこと好きなんだろ?」
「よ、よくねーってばよ……だってオレ……オレ、火影になるのに」
「それは……おめでとう?お前火影に目指してたんだっけ?」
「火影になりたかったよ!でもそれ以上にオレは……サスケが傍にいてくれることが望みで、オレが火影でその隣にサスケがいる未来を思い描いてて……でも「好きだから一緒にはいられない」って、今更だってばよ!何で今になって!!」
少し前からバァちゃんから火影見習いとして仕事を任されるようになっていて、正式に火影としてのお披露目はまだ先だけど火影になることは確定となった。
その際に補佐官を誰にするかと聞かれ、オレの答えはとっくに決まっていた。
だからサスケに火影確定報告と補佐官をお願いしたいことを伝えたら、断られて告白された。
『お前が火影になることは祝福してやる。だが断る」
『……お、オレはサスケに助けて貰いたくて』
『補佐官って火影に一番近くにいなきゃいけないんだろ。お前といるとしんどい』
『っ…………!そっか………ゴメン』
『お前のことが好きだから』
『…………ん?』
『お前のこと世界で一番愛してるから、一緒に仕事なんてできない』
そう言ってサスケは「任務があるから行く。話の続きは明日」と姿を消した。
そんな会話を待機所でしたものだから、噂があっという間に広まり大騒ぎになってしまった。
それが昨日の出来事だ。
「くだらねぇな」
冷たくそう言ってメンマがガタンと椅子を鳴らして席を立った。
「そんなことでこっちに逃げてきたのかよ。だせぇな。お前何歳だ。前会った時よりガキになってんじゃねぇの」
「…………」
くだらないことと言えばそうだ。だけど混乱して苦しい。
「メンマだって前似たようなことしなかったっけ?」
「うっせぇ!言ったら殺すぞ!」
メンマはそうサスケに叫ぶと、ツンとしてスタスタと奥の部屋へ行ってしまい、代わりに前の席にはサスケが座った。
「くだらなくねーよな。突然の告白で混乱したんだよな?わかるぜ。片思いの一人相撲なら自分で処理できても相手からの反応が返ってきて、それが想像以上の大きさだったもんだから嬉しさ半分複雑半分ってやつだな?」
「そ、そう」
「ナルト。そっちは火影になると恋人になれないのか?」
優しい声で聞かれて思わず泣きそうになった。こっちのサスケ優しいってばよ……。
「そうじゃねぇけど…………そもそも火影になるのを機にサスケのこと諦めようと思ってたから、余計混乱した」
「なんで諦めるんだよ?火影になっちまえば逆に命令し放題じゃねーか。オレだったらそうするけどな。そしていずれ心も奪う」
「オレは……サスケが里にいてくれるならどんな形でも構わなかったんだ。オレの世界のサスケは色々あって一度里抜けして、戻ってきた。でもオレといると情けをかけられてるみたいだと遠ざけられて……それでも一緒にいたくてすがりついた。その間もいつ拒絶されるか怖くて怖くて仕方なかった。火影になって命令で従えられるようになってしまえば、サスケへの気持ちは一生届かないと思った」
「でも届いたじゃねーか。それはナルトが頑張ったからだろ。『サスケ』がナルトを好きになったのも、火影になれるのも、全部お前の努力したから。それってカッコいいぜ」
「サスケ……!」
「一々くせぇんだよチャラ男が」
部屋に閉じこもったのかと思っていたが、メンマが大きな巻物を腕に抱えて戻ってきた。
ちょろちょろと仮面をつけた子狐を数匹足元に引きつれて。
「そっちの世界で火影になるのは大変なんだろ?それぐらい頑張ったテメーをテメーが認めてやんなくてどーすんだ」
そう言ってメンマはテーブルの近くの床に巻物を広げると、せっせと墨で何かを書き始めた。
「そっちはって、まるでお前のとこが大変じゃないみたいな言い方だな」
「お前の方が大変そうだからだよ。こっちの世界だとコイツが次期火影だからな」
「えっ!!サスケが!?」
「そう。オレ火影になるかも。まだ候補だけど」
「なんで!?メンマは!?」
「オレ?オレは頼まれたって火影なんて面倒な仕事ゴメンだ。目立つの好きじゃねーし」
「…………」
こんな所も違うとは…!そりゃ力が全てじゃないけど、あれだけ強くても火影になりたくないものなのか………!
「オレも火影なんて興味なかったんだけど、大好きなメンマに認めてもらいたかったから頑張ったんだぜ。メンマってすっげー優秀だからさ。釣り合うようにって修行してたらいつの間にかのぼりつめてたってやつ?オレって天さ…」
「うちは一族のサポートが半端なくすげーんだよ。コイツものすごい世渡り上手な所もあるけど。バカなんだけど何故か任務は成功しちゃうし、ブラコンの兄貴は暁だし、むかつくけど容姿と家柄もいいし、大名ウケもいいんだよ。半分ぐらいが単なるマスコット扱いだけどな」
「ブレーンとしてメンマとかチョウジを側近にするから問題ねーもん」
「オレは暗部だって言ってるだろ」
「えー影じゃなくてオレの傍にいてくれよ。そりゃこっそりエッチするのも燃えるけど、ぶほっ!」
サスケの後頭部にドスッとさっきの子狐が圧し掛かり、サスケはテーブルに顔を押し付けられていた。
こっちの世界のサスケがオレ自身と被る。
オレがサスケを補佐官にするから問題ないって言ってて笑ってたオレと…………。
「メンマ」
「なんだよ」
「サスケの傍で仕事するのって本当に嫌か?」
「……………」
メンマは何故そんなことを答えなきゃいけないのだと嫌そうな顔したが、どうしても聞きたかった。
「答えてくれ」
「…………こいつがセクハラするから心臓がもたない。けど、嫌なわけじゃねぇ」
「メンマアアアアアアア!!!」
サスケが勢いよく立ちあがった。
「近づいたら螺旋輪虞ぶっ放すぞ!」
サスケに筆を向けて殺気を放つメンマをものともせず、サスケはぎゅっとメンマを抱きしめた。
「オレは死ぬ時はメンマの体の中って決めてるからいい!」
「ギャー!気持ち悪いこと言うな!」
メンマってほんと素直じゃねぇな………。でもメンマを通して自分のサスケが見えたような気がした。
「オレも……わがままになっていいのかな」
「メンマに比べりゃ可愛いもんだろ。オレはメンマのつれない所もだーい好きなんだけど」
サスケの顔はメンマの筆によって墨で大きく×を描かれていて、両肩にドスンドスンと子狐が体当たりされていたが、幸せそうだった。
「フン。陣ができたぞ。送ってやるからさっさと帰れ。もう来んな。同じ次元に2人居続けるとよくない。精神がゆがむ」
そういやそうだったな。オレがいつになく気分が沈んでるのもそうなのかも。
メンマがさっきから書いていたのは、オレを返すための術のようだった。
「ありがとうなメンマ」
「……そもそもお前どう帰るつもりだったんだ?」
「え、まぁテキトーに…………」
「できるわけねーだろ。そもそも一人で来ることが無茶なんだよ。あっち帰ったら帰ったでしばらく動けなくなるぞ」
「そうなのか?てかなんでそんなこと知ってんだ?」
「メンマも一人になりたがって、時々そっちに行くんだよ。1回死にかけたんで、それ以降はオレがサポートしてるけど」
「サスケ!」
「え、そんなにちょくちょく来てんのか!?つか簡単に行けるもんなのか?」
「簡単ではない。時間というのは一定方向に同速度しか流れない。過去にも未来にも行くことはできない。過去に行けば現在に戻る術が使える保証はないし、未来に行けば現在の自分が消えることになる。だが同じ時間枠で別次元なら可能性はある。そもそも自分がいつも同じ次元にいるわけではない。ほんの薄皮一枚の隔たりで少しずつずれながら移動している。気がつかないだけで次元の歪みはあちこちにある。もちろん普通は行き来などできないが一時的にも同じ人間、お前とオレが同じ次元に存在したことより両者の世界が近づきやすくなり………」
「いやつまりどういうことだってばよ?」
長々と説明されてもメンマが何を言っているのかさっぱりわからない。
「お前こそどうやってきたんだ?無計画で来れるわけないだろ」
「なんか適当に、ここの世界のこと考えてたら頭がグラグラして…………」
「逃げたいとか強く思っただろう。九尾も口寄せ動物と本質は同じだから、人柱力は次元の歪も引き寄せやすいんだ。それにオレとお前が一度会ってるのも目印になってる」
「うーん…………」
「簡単に言うと腹の狐のチャクラが元々すごくて、ナルトとメンマもすっごい人間だから互いに行き来しやすいんだってさ。けど体に負担がかかるから頻繁にはやめとけって話」
「おぉ~」
「このウスラトンカチ同士が……。それで納得できんならいいけどよ。危ねーからやっぱもう来るなよ」
「メンマは来てるくせに?」
「オレはいいんだよ」
>>>チャラスケの裸エプロンが書きたかっただけの話。
一見メンチャラっぽいけどチャラメンですよ!
メンマのあの子狐は可愛いよね!
[3回]
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